長崎くんちの衣装や出し物に施されている長崎刺繍。江戸時代より伝わるその技術を受け継ぐ、唯一の職人。
塾生とともに制作した大型の刺繍や自身のオリジナル作品など、長崎刺繍の新たな可能性を模索している嘉勢。現在、ただ一人の職人。多くの人に長崎刺繍を知ってもらうことで次の世代につなぐという。
刺繍専門店で働きながら修業していた嘉勢。時代とともに刺繍の仕事も減り、生業としての刺繍を諦めかけたこともあった。あるとき、京都から訪ねてきた著名な刺繍作家からの助言を受け、再起を誓う。
立体的な表現を施す長崎刺繍で重要なのが下絵。江戸時代は下絵師と縫い師に分かれていたが、現在はすべてを嘉勢が担っていて、中でも大切に受け継いできたのが「型」だという。
4年ぶりとなる長崎くんち。万屋町の傘鉾「魚づくし」に施されている長崎刺繍は、江戸期のものを嘉勢が忠実に復元新調した。10年以上の時間を費やした手仕事は“じげもん”だからこそできると嘉勢は言う。
優れた技術を持つ九州各地の匠たちを紹介している「匠の蔵」。11月の匠は長崎県長崎市の嘉勢照太さん。長崎くんちの衣装や出し物に施されている長崎刺繍。江戸時代より伝わるその技術を受け継ぐ、唯一の職人。ぜひご覧ください!