400年の歴史を誇る「有田焼」の伝統と技術を、今に伝える「白磁」人間国宝。93歳の今もなお、現役で作陶活動を続けている。
二代目亡き後、井上萬二窯を受け継ぐ三代目、井上萬二の孫の祐希は、33歳。有田焼を身近に感じてもらいおうと、独自のやり方でチャレンジの真っ最中だ。そんな跡取りを井上はあたたかく見守る。
人間国宝の井上萬二93歳は、2年前に跡取りを病気で亡くした。長男・康徳がこの世を去ったのは62歳。早すぎる死に、井上は、康徳への思いを断ち切れないが供養の想いを胸に作陶を続けている。
42歳で自分の窯を持ち、66歳で人間国宝となった井上だが、少年時代の夢は海軍のパイロットだった。鹿児島の予科練時代に徹底的に叩き込まれたものは、人よりも努力する原動力「負けじ魂」。
井上は、柿右衛門窯で修行時代に、その後の人生を左右する師匠・ろくろ師「奥川忠右衛門」と出会った。皿や茶碗といった日用食器が主流の有田で、当時壺や花器など大物を作っていた奥川に学んだ事とは?
鮮やかな色使いが伝統の有田焼にあって、色に頼らない「白磁」を極める井上萬二。その工房を、歌人俵万智が訪ねる。形こそが、究極の文様が持論の井上だが、自然をモチーフにした文様にも挑戦している。