大分県豊後高田市で、古い玩具を中心に、レコード、雑誌、キャラクターグッズ、雑貨などを展示する駄菓子屋の夢博物館を作り、寂れていた町に観光客を呼び、シャッター通りだった商店街を復活させた。
現代の子供たちは古いおもちゃの遊び方を知らない。メンコやビー玉でどうやって遊ぶのか。独楽の回し方。ゼンマイの巻き方…。小宮は実験的に古いおもちゃで遊べるイベントを開いた。子供たちにとって古いおもちゃは新鮮で、目を輝かせて遊んでいたという。小宮の夢はおもちゃを手に取って遊べる博物館の建設。準備は着々と進んでいる。
小宮の膨大なコレクションのスタートは、おもちゃとの再会からだった。子供の頃、特に好きだったミニカーを失くした。28歳の時にある骨董品店の店先でゴミとして置かれていたミニカーを見つけた。奇跡の再会だった。以来、その感動が忘れられず、少年の頃の思い出集めが生涯の仕事となった。
駄菓子屋の夢博物館の展示は6万点だが、展示していない収蔵品は40万点を超える。小宮はこれを自分の足で買い集めたという。売れなくなった古い玩具の在庫をも持つ問屋にあたり、全国を回った。そこで気づかされたのが、古いおもちゃを後世に残してほしいという人々の思いだった。
2001年から豊後高田市が 始めた「昭和の町」プロジェクト。その拠点施設が駄菓子屋の夢博物館だ。年間2万人だった観光客は、今では40万人を超えた。観光客誘致のため、町と商店街がひとつになり、推し進めたのが「今あるお宝」を看板商品として売り出すことだった。商店街は奇跡の復活を遂げた。
駄菓子屋の夢博物館の展示数は、およそ6万点にのぼる。小宮の少年時代、 昭和30年代から40年代の玩具を中心としたコレクションだ。 希少価値のある高価な玩具でなく、子供の頃に遊んだ、触れたことのあるおもちゃを集めることで、来場者は心のタイムトラベルに出かけることができる博物館だ。
優れた技術を持つ九州各地の匠たちを紹介している「匠の蔵」。9月の匠は、大分県豊後高田市の駄菓子の夢博物館 小宮裕宣さん。古い玩具を中心に、レコード、雑誌、グッズなどを展示する「駄菓子屋の夢博物館」を作り、寂れていた町に観光客を呼び商店街を復活させた匠の“志と技”、ぜひご覧ください!