福岡県宇美町で去年、車を運転中に持病の発作を起こし高校生などをはねて9人にけがをさせたとして罪に問われている男に対し、福岡地方裁判所は12日、懲役2年6カ月の判決を言い渡しました。
判決を受けたのは福岡県須恵町の無職、中村進被告(66)です。
起訴状によりますと中村被告は持病のてんかんの影響で意識障害に陥るおそれがあるのに去年11月、宇美町で車を運転し、てんかんの発作を起こして高校生などの列に突っ込み、9人に重軽傷を負わせたとして危険運転致傷の罪に問われています。
また過去にてんかんの発作で意識を失ったことを隠し去年7月、運転免許証を更新した道路交通法違反の罪にも問われています。
これまでの裁判で中村被告は起訴内容について「間違いありません」と認めたうえで「若い人たちの心や体に大きな傷を与えてしまった」と被害者に謝罪しました。
一方検察側は、中村被告が医師の指示や妻の注意を無視して、車の運転が趣味であることや通勤の便のために運転を続け、過去にもてんかんの発作で事故を起こしたなどと指摘し、懲役5年を求刑していました。
これに対し弁護側は「本人に今後の生活を見直す意思がある」などとして保護観察付きの執行猶予を求めていました。
12日の判決公判で福岡地裁の今泉裕登裁判長は「運転中にてんかん発作により重大な人身事故を引き起こす危険が大きいことを認識し、運転をやめる機会が何度もあったのに、自分の都合を優先して運転を続けた」として「一部の被害者と示談が成立しており、被害者らに謝罪の言葉を述べていること等を考慮しても実刑を持って臨むのが相当」などと述べ、中村被告に懲役2年6カ月の判決を言い渡しました。