15日に福岡市で発生した高級車ﾚｸｻｽの窃盗事件｡

犯行の瞬間がとらえられていました｡

独自に入手した防犯ｶﾒﾗの映像と目撃者の証言を元に､福岡では初めてとみられる新たな手口に迫ります｡



警察によりますと､10月15日午前1時半過ぎ､福岡市中央区春吉の駐車場で会社役員の男性が所有する1200万円相当の高級車｢ﾚｸｻｽLX｣が盗まれました｡

◆被害に遭った男性
｢ﾚｸｻｽのｶｽﾀﾏｰｾﾝﾀｰに電話したら最終の停車位置がここだと｡高級な車であるので早く帰ってきて欲しいなと｣

一体､誰が盗んだのかｰ





これはTNCが入手した現場のすぐそばにある防犯ｶﾒﾗの映像｡

犯行時刻ごろの映像を確認するとｰ

画面左奥から高級な銀色の国産ｾﾀﾞﾝが走ってきました｡

高級ｾﾀﾞﾝは､画面左側に位置する現場となった駐車場にゆっくりと入って行きました｡



約1分後､現場の方に駆け寄る男性｡

駐車場での不審な動きに気付いた通報者です｡

◆目撃して通報した男性
｢ﾚｸｻｽの左前がこじ開けられていて｡普通の修理じゃないなと思って､なんか持ち主じゃないのかなって｣



目撃した男性によると､当時､現場の駐車場では､止められていた｢ﾚｸｻｽLX｣の左前の部分で1人が何やら作業を行い､その姿を隠すように銀色のｾﾀﾞﾝが横付けしていました｡

さらに男性は､作業していた人物の服装から｢ただ事ではない｣と直感したといいます｡



その服装を実際に描いてもらうとｰ

◆目撃した男性
｢あのﾄﾞﾗﾏとかで見るような覆面の黒ﾏｽｸ｣

◆記者
Q.｢もう見るからに怪しい格好だったんですね?｣

◆目撃した男性
｢服も真っ黒です｡全身真っ黒｣

間近で犯行を目撃した男性が描いた犯人像ｰ｡

身長170ｾﾝﾁほどで､闇に溶け込むような黒ずくめの格好だったといいます｡



◆目撃した男性
｢(犯人が)『見られたな』と思うぐらい目があったと思うんですけど､何もしなかったんで､早く逃げたかったんじゃないかなと｣

深夜とは言え､時折人通りもある現場で犯行に及んだ犯人ｸﾞﾙｰﾌﾟ｡

高級ｾﾀﾞﾝで乗り付けてから約3分後ｰ｡

施錠されていたはずの白いﾚｸｻｽが動きだします｡

通りに出たﾚｸｻｽはｾﾀﾞﾝとともに駐車場から走り去りました｡

◆目撃した男性
｢(ｾﾀﾞﾝは)名古屋ﾅﾝﾊﾞｰ｡ﾚｸｻｽに2人乗っているのが見えて､もう1台後ろから着いていく車が見えたので､3人はいたんじゃないですかね｡3人以上｣



警察は､男性が目撃した犯行の様子から｢CANｲﾝﾍﾞｰﾀﾞｰ｣と呼ばれる新たな手口の可能性が高いとみています｡

｢CANｲﾝﾍﾞｰﾀﾞｰ｣とは特殊な機器を車体の配線に接続して車の制御ｼｽﾃﾑに侵入し､ﾛｯｸの解除やｴﾝｼﾞﾝの始動を行う手口で､いま関東を中心に高級車の盗難被害が相次いでいるといいます｡

◆捜査関係者(取材によると)
｢福岡ではこれまでCANｲﾝﾍﾞｰﾀﾞｰによる被害は確認されてない｡福岡にこの手口が上陸したとなれば警戒を強めなければならない｣

ｽﾏｰﾄｷｰなど高度に電子化された高級車の盲点をついた新たな手口｡

警察は組織的な犯行も視野に捜査を進めています｡



福岡県警も警戒する高級車を狙った新たな手口の窃盗事件｡

損害保険会社がまとめた都道府県ごとの車の盗難被害の件数です｡

ﾄﾖﾀのお膝元である愛知県が突出して多く､千葉や大阪など関東･関西がそれに続いています｡

福岡県は10番以内には入っていませんが､福岡県警は､そんな福岡にも新たな手口｢CANｲﾝﾍﾞｰﾀﾞｰ｣による犯行ｸﾞﾙｰﾌﾟが乗り込んできたかと危機感をあらわにしてます｡



今回の犯行ｸﾞﾙｰﾌﾟの特徴を改めてみると

◆人数は少なくとも3人
◆うち1人は身長170ｾﾝﾁ台､覆面をして全身黒い服装
◆使われた車は名古屋ﾅﾝﾊﾞｰ､銀色の国産ｾﾀﾞﾝ

福岡県警は新たな手口CANｲﾝﾍﾞｰﾀﾞｰへの対策として

◆ﾊﾝﾄﾞﾙﾛｯｸやﾀｲﾔﾛｯｸなどの設置
◆盗難警報装置の設置

などを挙げています｡

警察は｢“うちの車は大丈夫”と思い込まず､早めの対策を｣と呼びかけています｡