◇ソフトバンク8-3巨人(29日・ペイペイドーム)
いきなり失点しながら捕手の甲斐とともに立て直したマルティネスがチーム単独トップの4勝目をマークした。
初回先頭の松原に2球続けた直球を捉えられて安打を浴び、続くウィーラーには浮いたカットボールをバックスクリーンまで運ばれる先制2ランを献上。緩急を駆使する間もなくわずか4球で先手を奪われたが、ここから修正能力を発揮した。
マルティネスの武器は変化球の多彩さと制球力。最初の2人には使わなかったチェンジアップなどを効果的に織り交ぜ、150キロ超のストレートを投げ込んだ。ウィーラーの一発の後は5回までわずか1安打。味方の大量援護も支えにスコアボードにゼロを並べていった。
既に100球を超えていた7回もマウンドに上がり三者凡退。7回で今季最多の116球を投げて3失点、さらに日本ハム時代も含め来日4年目で初の2桁となる10三振を奪う快投だった。
前回登板に続いて上がったお立ち台では「初回に失点したけど立て直せた。甲斐とコニュニケーションをとって、いつものようにいいリードをしてくれた」と女房役に感謝。味方が得点すると何点差であっても派手にベンチで喜ぶ姿も印象的で、この日も「(援護が)力になりました」とうれしそうに白い歯を見せた。
交流戦は2018年以来の登板で、これで4戦4勝(いずれも先発)とセ界相手に抜群の相性を誇る。5月1日の移籍後初登板から5試合で4勝(1敗)を挙げ、5月だけで4勝はリーグ最多だ。防御率1・97と圧巻の数字で千賀不在のローテを支える右腕は、緊急事態宣言の延長でソフトバンクの自主的な無観客試合も継続が決まったことを受けて最後にこう訴えた。
「一日も早くファンの皆さんがスタンドに戻ってくる日を待っている。いつか満員のファンの皆さんの前で投げたい」
現在のローテの順番通りなら、6月20日までの緊急事態宣言が解除されて初めて本拠地で投げるのは7月中旬。今年中にかなうかどうか分からない”満員のスタンド”でマウンドに立つ姿を想像しながら、今後もチームのために腕を振る決意だ。