◇ソフトバンク6-4楽天(20日・北九州市民球場)
2点リードの7回に「8回の男」を前倒しで投入したソフトバンクが、同率首位だった楽天との競り合いを制し再び単独首位に立った。
4-4で迎えた6回の攻撃で甲斐が2点二塁打を放ち勝ち越しに成功。同点の5回途中から津森、泉、嘉弥真とつないで勝ちパターンに持ち込んだベンチは、これまでの起用例を踏まえると岩崎か杉山の起用が予想される中でモイネロをマウンドに送り出した。
楽天は2番で左打者の小深田からの攻撃。3番で左打者の島内は前の2打席で本塁打、二塁打を放っており、4番には右打者の浅村が控えていた。
工藤監督は「あそこがチャンスになって点を取ってるというところ(の打順)。左も多かったし、そこで右の代打も考えにくかったので」と説明。抑えの森とともに中継ぎで最も安定感のある左腕モイネロは8回を任せるのが基本線ながら、勝負どころと判断して投入したことを明かした。
その期待通り、モイネロは気合に満ちたピッチングで三者凡退。浅村は最優秀中継ぎのタイトルを獲得した昨年、打者のべ193人と対戦して唯一の本塁打を浴びた相手だったが6球目のチェンジアップで見逃し三振に仕留めた。8回は岩崎、9回は森が抑え救援陣は無失点でリレー。モイネロは開幕からの連続無失点を6試合に伸ばした。
今後もモイネロの”前倒し投入”があるかを問われた工藤監督は「モイネロが元気な状態なのでできる」と状態が万全であることを前提として、こう続けた。「続けるかどうかは(対戦)チームによって、試合の中でもチャンスとか点になるかによって。そこが8回にはまればモイネロでいく」と柔軟な考え方で臨機応変に対応していくことを示唆した。
ソフトバンクは今季12勝のうち先発投手は6勝で、2勝以上を挙げた投手がまだいない。エース千賀が1試合投げただけで離脱するなどやりくりを模索する中で、救援陣の起用法も勝敗を左右することになりそうだ。