2020/10/01 20:00
▼瑠美さんの母親
「やはり警察が、もっと早く手を打ってくれたら、ここまではならなかった。それはずっとあります」
▼夫・裕さん
「あのとき動いてくれていたら、こんなこと何ひとつ起こらなかったんだろうな」
家族が高畑瑠美さんの異変を確信したのは、事件が起きる4カ月前だった。
▼瑠美さんの母親
「瑠美が交通事故を起こして、瑠美に示談金というか、そんな感じで渡しているんですけど、相手からもらった示談書の住所とか名前を調べたら全然偽物だった」
瑠美さんが事故を偽装し、家族から400万円近い金をだまし取っていたことがわかったのだ。
これに加え、勤務先からの電話が危機感をさらにあおった。
▼瑠美さんの母親
「瑠美が2カ月くらい無断欠勤とか、目がうつろだったりしておかしいから、何かやっているんじゃないかとか、迷惑電話が山本からかかってくると」
真面目で家族思いだった瑠美さんに起きた変化。
家族は鳥栖警察署を訪ね、瑠美さんに多額の金を無心されていることや背後に山本被告がいることを相談した。
しかしー。
▼遺族「瑠美を山本から引き離して欲しいんです。警察は動いてくれないんですか?」
▼警察「警察としては動けないです」
▼遺族「どうして?」
▼警察「家族間の問題でしょ?山本って人と一緒にいるのは瑠美さんの意思じゃないんですか?」
▼瑠美さんの母親
「それは事件にならないとか、証拠とかないし、家族間のことだからできないとか、そういう言い方しかしてもらえなかった」
それからほどなくして、瑠美さんは夫と暮らすアパートから出て行き、行方がわからなくなった。
事件が起こる2カ月前。
瑠美さんを探していた瑠美さんの妹は、ついに山本被告の家を突き止める。
するとそこに1台の車が現れた。
▼妹
「瑠美姉!瑠美姉!」
車を運転していたのは瑠美さんだ。
▼妹
「家のこととかお金のこととかしっかり説明して」
しかし、瑠美さんはうつろな目をしたまま、ほとんど反応がなかったという。
▼瑠美さん
「なんで家に来たん?山本さんと話して」
妹によると、瑠美さんはすでに、自分の意思で話すこともできなくなっていたという。
家族は自分たちでできることの限界を感じ、再び相談に訪れたが…
警察が動くことはなかった。
一方、その頃、山本被告たちからの金の要求はエスカレートしていた。
夫・裕さんの自宅や会社には山本被告の車がうろつき、暴力団を名乗る田中政樹被告からも金を支払うよう電話で何度も脅された。
恐怖におびえる中、裕さんはこの事態を打開しようと「ある行動」を取った。
▼夫・裕さん
「山本たちから電話がかかってきたときに、その会話を録音しました」
脅迫電話
▼山本被告「あなたに貸したお金はきちんと返済してくださいと約束しておりますので、返済をして下さい」
▼田中被告「弁護士入れたところで@×▼★□@×▼★□」
▼山本被告「これが脅しとか言うんやったらゾッとするわ、マジ」
ようやく手にした脅迫の動かぬ証拠。
これで、警察も「山本被告たちを捕まえてくれるはず」と被害届を提出しに行った。
しかしー
▼夫・裕さん
「録音時間が3時間ということで長い。恐喝にあたる文言が、どこの何分に、どういう風に言葉を発したか、わかりやすいようにして警察署に持ってきてくれと言われました」
音声データをすべて聞くことなく、被害届の提出を断ったばかりか、職務放棄とも取れるこんなやりとりもあったと遺族は主張している。
▼警察「このデータを文字に起こして、どれが恐喝で、どれが脅迫で、どれが強要に当たるのか、印を付けてきて下さい」
▼遺族「そんなの素人に分かるわけがないじゃないですか」
▼警察「いまはネットで調べられますから」
▼夫・裕さん
「警察署を出て行くときは放心状態に近かった。怖くて助けて欲しくて警察に行っているのに、警察が動いてくれなかったらどうしたらいいんだろうって」
4カ月の間に11回。
遺族が鳥栖警察署を訪ね、助けを求めた回数だ。
しかし、遺族のSOSもむなしく、この僅か1カ月後に瑠美さんは無残な姿で見つかってしまった。
▼瑠美さんの母親
「もう今まで見てきた瑠美じゃない姿をしていました。1番に頼るのは警察。警察を信頼しているから頼みに行くんですよね。人の命を預かる職業だからもっと真剣に私たちの言うことを聞いて欲しかった」
瑠美さんの死後、福岡県警がこの音声などをもとに山本被告らを恐喝未遂事件として立件した。
それだけに遺族は、佐賀県警の対応に今でも疑問を持ち続けている。
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