2020/01/24 19:40
17日、あるところで行われた成人式の様子です。
その場所というのは少年院。
2020年は8人が新成人になったんですが、彼らは一体どんな思いでこの日を迎えたんでしょうか。
朝7時、男性の1日は部屋の掃除から始まります。
コンクリートの壁に囲まれた質素な部屋。
ベッドと机はありますがテレビはありません。
【少年院にいる男性】
「全く掃除はしてこなかった」
「ここに来てするようになりました」
「いざしてみたら細かくしたくなるので」
福岡市にある福岡少年院。
傷害や窃盗などの罪を犯した14歳から20歳の男性約60人が集団で生活しています。
短い髪に指定のジャージ姿。
男性は2019年、ここに入りました。
「自分は結構流されやすいところがあって」
高校受験に失敗した男性。
建設関係の仕事に就きましたが、夜の遊びが増え10代後半で犯した非行で少年院に入ることになりました。
「人として最低なことをした」
「これからも罪も償っていかないといけない」
ここでは生活指導や職業指導を受けながら、11カ月ほどで社会復帰を目指します。
自由時間はほとんどありませんが、苦手だった勉強にも力を入れています。
「最初は6級からスタートしたがどんどん級が上がるようになって、数学検定は1級まで漢字検定も3級まで取って」
「合格したら達成感が得られます」
街に華やかな新成人の姿があふれた成人の日から4日後、ここ福岡少年院でも成人式が開かれました。
2020年、新成人となったのは男性を含め8人。
院が用意したブレザーとネクタイ姿、胸には花飾りもついています。
保護者たちが見守る中、1人ずつ大人としての自立を誓います。
男性の順番がやってきました。
「今まで身につけたものや努力することの大切さを知ったことなどで、この先の人生、生かすも殺すも自分次第です」
「両親に感謝してその恩に報いるためにも、より明るい未来になるよう一生懸命生きていくことを誓います」
この日のために自ら文章を練り上げ暗記しました。
【福岡少年院 岸川博二 主席専門官】
「一番変わったのは表情」
「穏やかな表情で、一つ一つ集中して真剣にものを見る目が育ってきている」
「再犯を犯さない立派な社会人として生活ができるようなきっかけになればいい」
法務省のまとめでは、非行で摘発される少年の数は年々減少しています。
一方で、非行を繰り返す少年の割合は増えていて、院を出た少年たちを受け止めきれていない社会のあり方が浮き彫りとなっています。
そんな状況を変えようと模索している人たちがいます。
「遊んでいるときにゆっくり話せる」
「そういう場所の方が心を開いて…」
NPO法人セカンドチャンス!
少年院経験者の自助グループです。
代表の城戸雄光さん自身、かつては暴走族にいて少年院に入りました。
【セカンドチャンス!福岡 城戸雄光代表】
「若い子って金も名誉もない。財産は仲間。その財産を捨てるってできるものかなと思う」
「居場所作りというものを一番に考えて「友達と縁を切っても“セカンドチャンス”のみんながいると思われたらいいのかなと思います」
その取り組みの1つが毎月1回の交流会。
少年院から出た人が集まり、自らの経験や未来を語り合います。
被災地でのボランティアや街頭の清掃活動などにも汗を流します。
【少年院の経験がある山下諒哉さん】
「人に普段言えないことが言えるとか仕事のことでも愚痴でいいし否定から入らず聞いてくれる」
「自分も現状変わって真面目に働いているもので、希望を持たせてくれる」※
新成人となった男性は、社会復帰を間近に控えています。
式には母親も駆けつけ、メッセージを寄せました。
「今から過ごしていく年数が長いけど、あなたにはいろいろな道があるよ。後悔のない道を選んで。応援しています」
式のあとには、小学校の入学式以来という2人一緒の写真も撮りました。
「ここで両親と写真を撮って、外では撮ってなかった。少年院でしてよかった」
「再犯につながるような友達とは縁を切るつもり」
「親孝行したいなと思う。両親を旅行に連れて行きたい」
少年院に咲くサザンカの花言葉は「困難に打ち勝つ」。
その思いを深く刻み男性は新たな一歩を踏み出します。
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