32年前の1992年､福岡県飯塚市で小学生の女の子2人が殺害されたいわゆる｢飯塚事件｣で､福岡地裁は5日､すでに死刑が執行された元死刑囚の再審=裁判のやり直しを求める2度目の請求を棄却しました｡



1992年2月､飯塚市で小学生の女の子2人が連れ去られ殺害された､いわゆる飯塚事件では､2年後の1994年に久間三千年(くま･みちとし)元死刑囚が逮捕され､裁判で元死刑囚は一貫して無罪を主張しましたが､2006年に殺人などの罪で死刑が確定し､2008年に刑が執行されました｡

元死刑囚の妻は2021年に2度目となる再審=裁判のやり直しを福岡地裁に求めていました｡



弁護側は新たな証拠として
事件当日に飯塚市の三差路で女の子2人を最後に目撃したとされる女性が｢目撃したのは事件とは別の日だった｣｢調書は誘導された｣などとこれまでの証言を翻したことや､
飯塚市で元死刑囚とは異なる特徴の人物が女の子2人と車に乗っているのを目撃したとする男性の証言を提出し､元死刑囚は犯人ではないと主張していました｡



福岡地裁は5日午前､再審の請求を棄却しました｡

棄却の理由として､福岡地裁は､
新たな証拠のうち女性の証言について｢捜査機関が女性の記憶とは異なる供述調書を無理やり作成したとは考え難く､女性の現在の記憶自体､一貫性のない不確かなものである可能性が高い｣と指摘し｢信用できない｣としています｡

もうひとつの男性の証言については｢今でも､車で追い越しざまに目撃した面識のない女の子2名の顔をはっきり覚えているという供述自体､不自然な感が否めない｣とした上で｢信用できない｣としています｡



この判断について弁護団はｰ

◆徳田靖之 弁護士(5日の会見)
｢きょうの決定というのは我々にとって最悪のﾊﾟﾀｰﾝ｡この証言の価値を認めて再審開始することが我が国おける死刑制度の根幹を揺るがしかねないという､そういう思惑に縛られて､2人の人間としての良心に基づく貴重な証言の価値を認めようとしなかった｣

弁護団は6月10日に即時抗告するとしています｡

一方､検察は､再審棄却について｢裁判所が適切な判断をされたものと考えている｣とｺﾒﾝﾄしています｡