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「目印の横に…意味がない」 登山道に多数の“矢印”ペイント 人気レジャーに問われるモラル 【福岡】


2023/01/16 19:00
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密を気にせず健康にも良いと、コロナ禍で人気が高まっている登山。

人気の反面、登山者のモラルが問われる、ある問題が起きています。

のどかな自然に広がる雄大な山々。

福岡県嘉麻市にある通称「嘉穂(かほ)アルプス」です。

馬見山(うまみやま)・屏山(へいざん)・古処山(こしょさん)と、標高900メートル前後の3つの山が連なり、初心者にも登りやすいと人気を集めています。

しかしこの嘉穂アルプスを舞台に今、困ったことが起きています。

案内してくれたのは、嘉穂アルプスの保護や登山道の整備をするボランティア団体「嘉穂三山愛会」の伏貫さんです。

◆嘉穂三山愛会 伏貫大輔さん
「こちらですね」

馬見山の登山口にある大きな岩。

一見、何の変哲もない岩に見えますがー

◆嘉穂三山愛会 伏貫大輔さん
「こちらに、黄色の塗料で矢印が書かれていた」

11月末に登山者からの報告で判明したこの矢印。

岩に直接スプレーのようなものでつけられ、矢印の長さは20センチほど、山に入る道の場所を示していると見られています。

報告をうけて、現地に足を運んだ伏貫さん。

まさかと思い登山道を確認していくと、同じような矢印やマークが次々と見つかったといいます

◆嘉穂三山愛会 伏貫大輔さん
「登山口から8合目付近まで、約30カ所にペイントがされてました。迷いようもない一本道にずらりと、10メートル間隔でつけてあったり」

誰かが道案内のために親切心からつけたものなのか?

しかし、伏貫さんはその必要性は全くないと話します。

◆嘉穂三山愛会 伏貫大輔さん
「こちらにもペイントされていて私たちが消したんですけど、ペイントをされているすぐ横には、正規のピンクのリボンで以前から目印をしている」

登山道には、ピンクや黄色のテープで正規のルートの目印が数十メートルおきにあらかじめ設置されています。

◆嘉穂三山愛会 伏貫大輔さん
「目印の横にペイントするというのは、意味の無い行為なんですよ」

さらに進んでいくと、まだ消されていなかったマークを見ることができました。

◆嘉穂三山愛会 伏貫大輔さん
「マークをつけている岩に、長年かけて育ったコケが生えているんですけど、それごとペイントされているんですよね。これはひとつの環境破壊で、絶対にやってはいけない」

年末に降った雪に埋もれて取材直前まで見つけられなかったこのマーク以外は、伏貫さんが中心となり除去しましたが、油性の塗料は簡単には落ちず、溶剤などを使う必要があるといいます。

◆嘉穂三山愛会 伏貫大輔さん
「結局最後は、コケごとペイントを落とすことになりますね。ブラシでこすって除去するというのは心が痛いんですけど、こうするしか手の打ちようがなくて」

伏貫さんは、仮に親切心でつけたとしても、個人の勝手なマーキングは危険だと言います。

◆嘉穂三山愛会 伏貫大輔さん
「動く石に関しては、例えば、台風や雨風で石が流れたときに、あらぬ方向に矢印が向いてしまう可能性がある。それを後から来た登山者が見て、間違ってそっちの方向に進むという危険性をはらんでいる。最悪の場合、遭難という一番あってはいけない事故につながると思います」

そして被害は、馬見山以外でも。

馬見山とともに嘉穂アルプスを構成する古処山では、2022年12月までに、登山道の約90地点で同じような矢印やマークが確認されています。

中には、そもそも道しるべである案内標識の支柱に書かれたものも。

さらに、ゴールのはずの山頂になぜか、道しるべの黄色い丸いマークが。

もはやいたずらとしか思えないようなペイントに、嘉穂アルプスの自然を生かした地域おこしに力を入れている嘉麻市の観光協会も頭を抱えています。

◆嘉麻市観光まちづくり協会 有田芳行事務局長
「ガイド気分になってるのかな、という気はします。自分たちは自然を使わせてもらっているという立場にかえってもらって登山を続けていただきたい」

実はこうしたペイントは、嘉穂アルプスだけでなく別の山でも確認されています。

◆嘉麻市観光まちづくり協会 有田芳行事務局長
「その後、現状というのはいかがですか?」
◆脊振の自然を愛する会 池田友行さん
「樹木にペイントを塗って回っているのはあります。ひどいのが5メートルおきくらいにやってて、『何のためにやってるんだ』と思う」

福岡・佐賀にまたがる脊振山(せふりさん)では、木に直接スプレーしたものもあったほか、案内板にはマジックで「自然を守ろう」という思わず突っ込みたくなるような書き込みも見つかりました。

◆脊振の自然を愛する会 池田友行さん
「汚いというか、山を汚しているとしか思えない」

たとえ親切心からだとしても、自然や景観を壊し、さらに遭難など重大な事故を起こしかねないこうした行為。

登山人気が高まる中、それを楽しむ人たちのモラルが改めて問われています。
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