福岡県北九州市の旦過市場を襲った2度目の火災から11月10日で3ヵ月｡

同時に高倉健さんの命日でもある10日､全焼した小倉昭和館の館主が高倉さんの墓を訪れ映画館再建を誓いました｡

3年前の11月10日に亡くなった名優･高倉健さんの墓に手を合わせるのは､北九州市の旦過市場にある小倉昭和館の樋口智巳館主です｡

◆小倉昭和館　樋口智巳 館主(8月10日)
｢(電話で)はい､昭和館です｡うちが燃えてる｡今､どこ?もう来なくていい｡家やろ?もう燃えてしまって｡うちに火が移った｣

ちょうど3ヵ月前､旦過市場一帯を襲った2度目の火災｡

被害は4月に起きた火災よりも広範囲に及び､約3300平方ﾒｰﾄﾙ､45店舗が焼損しました｡

火災から3日後､焼け跡には樋口さんの姿がありました｡

◆小倉昭和館　樋口智巳 館主
｢帳面やね｡帳面だわ｣

樋口さんは､焼け跡にあるﾓﾉが残っていないか探していました｡

◆小倉昭和館　樋口智巳 館主
｢高倉健さんの手紙がひょっとして出てきてくれたらうれしいと思って｣

創業83年､旦過市場のｼﾝﾎﾞﾙとして知られた小倉昭和館｡

これまで何度もあった経営危機を乗り越えられたのは､観客はもちろん､銀幕のｽﾀｰたちの支えがあってこそ｡

亡き高倉健さんも､その1人でした｡

10年前に高倉さんから届いた一通の手紙にはｰ

『夢を見ているだけではどうにもならない現実問題､どうぞ日々生かされている感謝を忘れずに､自分に嘘のない充実した時間を過ごされてください｡高倉健』

◆小倉昭和館　樋口智巳 館主
｢うわついた気持ちだけではこの映画館を守っていけないんだという私の覚悟にもなりましたし､もうずっと支えです｣

あの手紙が見つかれば｢もう一度がんばれる｣ｰ

その一心でがれきの中を懸命に探しましたが…見つかりませんでした｡

◆小倉昭和館　樋口智巳 館主
｢(高倉さんに)手紙が焼けてしまったということのお詫びがまず一番です｣

高倉さんに手紙が見つからなかったことを謝罪したという樋口さん｡

同時にある｢報告｣も行いました｡

◆小倉昭和館　樋口智巳 館主
｢(家主が)今度､昭和館再建を検討しましょう､と言ってくださいました｡これから昭和館は再建に向けて歩んでいきます｡健さんにまずご報告したかったんです｣

今は亡き名優の墓前で誓った｢再建｣｡

火災から3ｶ月が経ち､ようやく復活に向けた歩みが進もうとしています｡