■交流戦企画「掛布雅之×池田親興」対談
2年ぶりに行われている交流戦は各球団がほぼ半分の日程を消化した。過去15度の交流戦で12球団最多8度の優勝を誇るソフトバンクはセ・リーグ首位の阪神と甲子園で対戦(6月4〜6日)。今カードの注目点、阪神の大型ルーキー佐藤輝明の魅力などをTNC野球解説者の池田親興氏(62)が現役時代にともに阪神でプレーした「ミスタータイガース」掛布雅之氏(66)との対談で探った。(4日取材、文中敬称略)
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池田)今年のタイガースの強さの秘密は?
掛布)先発ピッチャーがある程度ゲームをつくることができているから、ローテが崩れていない。そして佐藤という新人が入ったことによって打線が、すごくしたから突き上げがある。あれだけ佐藤がすごいホームランを打つことによって両外国人(マルテ、サンズ)も、大山もみんなすごい刺激を受けている。
池田)これ特異なんですけど、ホームランを打って打率が良くて打点もいいならわかるんですが、打率は2割7分くらいなのに、この打率でチームを鼓舞できるのはなかなか近年いないですよね
掛布)いないね。それとね、彼が持ってるなと思ったのはね、初めて4番に入った時に満塁というチャンスに巡り合うわけだよな。しかもホームランを打ってしまう。プロ野球で初めて4番に入ってホームランを打った方というのは何人もいる、俺も打ったことあるからね、1本。でも、満塁で回ってくるんだよ。
池田)まず回ってくることがすごい。
掛布)それがすごいということ。それとね、彼のホームランにはド肝を抜かれるのが多くない?
池田)掛布さんもいろんなホームランバッターを見てこられたと思いますけど、佐藤はどういうタイプのバッターですかね。例えばホークスには柳田というバッターがいますが。
掛布)ちょっと違うかな。タイプって言われると難しいね、佐藤は佐藤だな。これからが本当に楽しみ。誰にもまねができない、佐藤は佐藤という選手になるんじゃないかなと思っている。
池田)ほかにいないという意味ではホークスの柳田を最初に見たときも衝撃でした。失敗した(打ち損じた)なと思ったときにも左中間とは平気でスタンドに入っている。掛布さんはボールを捉えてバットからボールが離れるまでの時間が長いんですけど、佐藤とかギータ(柳田)は当たった瞬間、触れた瞬間にどっかへいっちゃう。
掛布)われわれの時代のバッティングの理論と今は違う。オリックスの吉田くんとか、隙がない。彼のスイングスピードはすごいよね。俺はキャンプ初日に佐藤を見た時にダメだろうなと思ったんだ。アッパースイングで。それが2日目に見たらレベル(スイング)に変わっていて、(沖縄)宜野座のバックスクリーンを越えていくホームランを打った。それを見た時にああ、やっぱり4球団が競合するだけのことはある、修正能力がすごく彼にあるんだなと思ったんだよな。
池田)思い返せばドラフトでホークスも佐藤を1位で指名していたわけです。まかり間違っていればホークスでプレーしていた。
掛布)阪神にとって良かったのは、敵のチームじゃなくから打たれないっていうのもね。1年目からオールスター、夢の球宴ですよ、それでいきなり(中間得票が)1位になっている。それだけファンを魅了するホームラン打てるし、キャンプでホームランを見てチームも変わったんです。
(TNC「CUBE」5日オンエアより一部抜粋して再構成/YouTube「ももスポチャンネル」で全編公開中)