ウエスタン・リーグで7本塁打、25打点と打撃2部門のトップ(18日現在)を走るリチャードが初の1軍昇格へ自覚している課題を明かした。
2月の春季キャンプをA組(1軍)で完走。長打力のある右打者としてベテラン松田が守り続ける三塁の後継候補とも期待されていたがキャンプ終盤に失速した。オープン戦途中で1軍メンバーから外れ、昨年に続いて開幕は2軍で迎えることになった。
入団3年目で支配下登録された昨年は2軍で本塁打、打点の2冠。1軍には上がれなかったがブレークの足がかりを築き、今年のキャンプでは新任の小久保ヘッドコーチの号令の下、1日1000スイングを実践した。その成果が現在の成績でもあり、自分でも「1000スイングやってきたからきつくない。開幕からバットが振れていた。体力と(体の)キレ、それが試合でも出せて、去年よりもいい結果でこれている」という。
ではなぜ、8日の試合でグラシアルが骨折して離脱した際にも1軍から声がかからなかったのか。その点を自分の中ではこう分析している。
「集中力です。例えば"これは勝っただろう"とかいう試合があったら最後の打席は気が抜けたり、集中していない。そういう時も一打席一打席に集中して入れたらいいんですけど」
最近ではプライベートでも失敗があった。ファームの施設に通う際、駅にクラッチバッグを落としてしまったという。そのバッグは先輩にプレゼントされたもので、中に入っていた財布、ネックレスも先輩にもらったもの。慌てふためいたものの、駅に届けられていたことが分かり胸をなでおろした。ツイッターで感謝の言葉を投稿したところ、拾い主から返信があり、その拾い主は自身ではなく真砂のファンだったというオチまでついてきた。
「クラッチバック、財布、ネックレス。えげつない金額を落としてしまった。私生活から集中していきたい」
1軍切符をつかみ損ねて迎えた開幕から間もなく2カ月。その姿を間近で見てきた藤本2軍監督は「もう少しメンタル面で成長してほしい。もっと貪欲に、一生懸命練習して、精神的に強くならなければ」と促す。もちろん、本人も危機感を抱いて練習に臨んでいる。
「練習の一番最初、ティー打撃とかでも初球から決めるというか。スイッチを入れてやっています」
グラシアルの離脱後、1軍は2軍から代役を昇格させることなく6試合を戦った。不振で5月3日に2軍降格したデスパイネも調整を続ける中、18日に1軍登録されたのはバレンティンだった。2軍で練習中にアドバイスしてくれた大砲は昇格して即スタメン起用され、満塁の場面で適時打を放った。
グラシアルの離脱は長期化する見通しで、デスパイネは五輪予選に出場するため近く離日する予定。こうした状況も踏まえ、藤本2軍監督は「チャンスはある」とハッパをかける。
来月18日で22歳。「まずは(1軍に)上がらないと始まらないので」。注目の1軍デビュー、プロ初安打、本塁打へ、リチャードの挑戦とアピールが続く。
(TNC「ももスポ」18日オンエア・Youtube「ももスポチャンネル」より/取材=米多祐樹)