リーグ連覇を目指すソフトバンクが先発陣の不調に苦しんでいる。
黄金週間の9連戦を終えた5日時点で首位楽天に1ゲーム差の2位。開幕からしばらく低迷していた打線は柳田、グラシアル 、中村晃ら主力がそろって状態を上げてきたこともありチーム打率2割6分6厘はリーグトップとなっている。一方で、ここ数年の強みでもあった投手陣は防御率3・59が楽天、オリックスに次ぐリーグ3位。中でも苦しいのが先発陣だ。
先発防御率はリーグ唯一の4点台で4・18。チーム17勝のうち先発投手の白星は9しかなく、平均投球回5・53は西武に次ぐリーグワースト2位だ。もともとソフトバンクの投手陣はブルペンに支えられているところが多く、昨年の救援防御率は12球団唯一の2点台。今季もここまで2・59でリーグトップだが、先発陣の台所事情を完全にカバーできていないのが現状だ。
エース千賀、昨年の開幕投手だった東浜が開幕時に不在。昨年最多勝、勝率第1位で投手2冠の石川を開幕投手に据え白星で滑り出したがローテは安定せず、40歳の和田、武田がそれぞれ2勝でチーム勝ち頭という状態だ。千賀は今季初登板だった4月6日の試合で左足首を負傷。靭帯損傷で、球団に発表によると復帰まで2、3カ月かかる長期離脱となった。
千賀の昇格を見越して開幕ローテを組んでいたベンチにとっては思わぬ誤算だった。エースに託すはずだった週アタマの火曜は笠谷が務めたが、千賀の離脱後は未勝利。ここへきて中継ぎへの配置転換が決まった。2年ぶりに先発に戻った高橋礼も制球難を克服できず5試合で2軍落ち。登板機会がなく一時的に出場選手登録を外れている武田を除き、開幕ローテのメンバー6人のうち3人がローテにいない事態となった。
工藤監督は9連戦前に「先発は5、6回でいいとは考えてほしくない。調整期間の1週間は長い。そこで投げるのだから7回くらいまでは」と話していたが、今季この7回をクリアしたのは35試合のうち5試合、それも石川(4試合)、武田(1試合)の2人しかいない。延長戦がなく先発を引っ張る必要性が減っているとはいえ、開幕から1カ月余りで早くも救援陣の負担が増しているのは事実だ。
守護神の森が離脱して救援陣も不安要素を抱える中、いかに先発を立て直すか。状況は厳しいながらも好転の兆しも見え始めている。高橋礼に代わって5月1日に移籍後初登板したマルティネスが新天地デビュー戦で1勝。さらに、出遅れていた東浜が5月5日の2軍戦で今季の実戦登板で初めて100球をクリア。次回は1軍で今季初登板する可能性がある。
先発陣のみの成績は9勝12敗の借金3。一方で救援陣は8勝2敗で貯金6と、復調した打線とブルペンがチームを支えている。チーム最多の41回1/3を投げている石川はクオリティースタート(6回以上を投げて自責点3以内)が6登板のうち5度あるにもかかわらずまだ1勝。ちぐはぐな流れを解消する切り札として、近く1軍に戻ってくるであろう東浜に注目が集まる。