昨年12月上旬に受けた右肘手術からの復帰を目指す甲斐野央投手(24)がリハビリ組で貴重な”収穫”を得たことを明かした。
手術明けだった2月のキャンプは全期間がリハビリ組。地道な日々を重ね、4月9日にファームで手術後初めてシート打撃に登板し最速152キロをマークした。その後一度は状態が落ちたが今月4日、約1カ月ぶりにシート打撃で登板。おぼろげながら2年ぶりの1軍昇格が見える段階まで上げてきた。
長いリハビリの中で支えとなっているのがエース千賀の存在だ。両ふくらはぎのコンディション不良でキャンプ全期間をリハビリ組で調整した千賀は4月6日に1軍昇格。白星を挙げたもののプレー中に左足首を負傷し、靭帯損傷で長期離脱となった。
キャンプ中にも心身両面のアドバイスを受けていたエースが再びリハビリ組へ戻ってきたことに甲斐野も少なからず動揺した。しかし松葉づえで筑後のファーム施設に現れ、左足をギプスで固定し台に座ったままキャッチボールする姿に驚かされたという。
「座ったままで距離を投げることはできても、ストレスなく投げられることがすごい。足を使えなくてもストレスなく投げられる上半身の使い方のアドバイスをもらった」
6日にブルペンで35球を投げた右腕は「(4日の)シートのときから悪くない感覚でこられている」と強調。その上で「いまはブルペンなどで悪いと思ってもなぜ悪いかが分かるようになったのが大きい。肘のことで悩んできたけど、手術したことでいい意味でまたゼロから考え方を変えることができた。それが実戦でどのように生きるのかを確かめたい」と明るい表情で話した。
新人だった19年にチーム最多の65試合に登板し、ポストシーズン、侍ジャパンでもフル回転。さらなる飛躍が期待された2年目はキャンプで故障、肘の違和感を言い出せないまま7月に2軍戦で実戦復帰し、その後は実戦で一度も投げることなくシーズンを終えた。苦闘の日々に終わりを告げる第一歩として、状態に問題がなければ8日の3軍戦で手術後初の実戦マウンドに上がる。
(TNC「ももスポ」6日オンエアより/取材=大和拓未)