2020/12/09 21:30
2019年10月、福岡県太宰府市で当時36歳の主婦が暴行死した“太宰府事件”。
事件直前に録音された被害者・高畑瑠美さんの声です。
◆録音音声(2019年9月23日)
瑠美さん「美幸さんに対して弁護士を入れたと?ねぇ、答えて。どうゆうこと?話してくれん?」
当時、瑠美さんは主犯格とされる山本美幸被告(41)にマインドコントロールされ、夫・裕さんを恐喝する手助けをしていたとみられています。
この電話の時、瑠美さんの側には山本被告がいました。
◆録音音声(2019年9月23日)
瑠美さん「美幸さんに対して弁護士入れたと?」
山本被告「私って言ったよね?本人が言ったの」
瑠美さん「・・・何しよると?」
山本被告「本当のこと言ったらほんと、ねぇ瑠美」
瑠美さん「(山本被告には)いろいろしてもらっとうやん。なんしてくれとうと やめてそういうことするの」
この1ヶ月後、瑠美さんは山本被告と岸颯被告(25)から木刀で殴られるなどの凄惨な暴行を受け、死亡したとされます。
2020年12月2日 佐賀県議会
◆佐賀県警・杉内由美子本部長
「金銭貸借トラブルをどうにかして欲しいというものであり、被害者の女性に直ちに危害が及ぶ可能性があるとは認められませんでした」
瑠美さんの死を巡り、事件前、佐賀県警・鳥栖警察署が遺族から繰り返し相談を受けていた問題。
佐賀県警は内部調査の結果“相談は家族間の金銭トラブル”、“鳥栖警察署の対応に不備ナシ”と主張し続けています。
しかしTNCは、佐賀県警の主張を覆す内部資料を独自入手しました。
◆内部文書(2019年7月12日)
「令和1年7月12日」
「件名 他人から洗脳されている娘を救いたい」
事件の3ヶ月前、瑠美さんの母親が鳥栖警察署に相談した際の内容や対応などが記された相談簿と呼ばれる内部資料。
それには佐賀県警が主張し続ける“金銭トラブル”ではなく、“洗脳された娘を救いたい”という切実な相談が記されていたのです。
◆内部文書(2019年7月12日)
「私は、瑠美がヤマモトから洗脳されて、私達からお金を取ったり、職場とトラブルになっているのではないかと思い心配しています。私としては、瑠美とヤマモトを引き離したいと思っているのですが、どうにかできないかと思い警察に相談に来ました」
内部資料には、鳥栖警察署の対応も記されていました。
◆内部文書(2019年7月12日)
「洗脳と言っても、具体的な被害や状況が分からない」
「どうにかして高畑本人としっかり話し合いをすること」
「被害届の意思」
「なし」
「解決」
さらにその翌月には・・・
◆内部文書(2019年8月7日)
「令和1年8月7日」
「件名 姉を取り巻く環境が心配」
「姉は最近、悪い影響を受けているようですので、姉をなんとかしてその状況から救いたいです」
また別の日には・・・
◆内部文書(2019年8月12日)
「件名 姉の薬物使用疑い」
「私の姉はここ数ヶ月間様子がおかしく」
「姉が話す内容は支離滅裂」
遺族は鳥栖警察署に“金銭トラブル”以外の相談を何度もしていたのです。
2020年12月2日 佐賀県議会
◆佐賀県警・杉内由美子本部長
「一連の申し出は、被害者の女性を巡る金銭貸借のトラブルについてのものであり」
なぜ佐賀県警は“金銭トラブル”だけだったとしたのでしょうか。
遺族は佐賀県警に理由を尋ねました。
2020年12月5日ー
瑠美さんの妹「私たちが伺った相談っていうのが“金銭トラブル”というだけで扱われていたのはなぜなんでしょうか?」
佐賀県警側「お話の根底にその部分があったっていう風に受け取っていたということです」
瑠美さんの夫・裕さん「相談の根底というのが金銭的な要求トラブルというよりかは、山本と瑠美を引き離してほしいというような相談がたぶんメインだったと思うんですよ」
佐賀県警側「まあ、その、県警としてはですね、そこの部分、その根底に問題があってって、その共通した問題としてあったのがっていう捉え方なんですけど」
瑠美さんの妹「だからその実際に、根底としてあったとしても、それに対して見抜けなかったのか」
佐賀県警側「そうですね、まあ、そこはもう最近の報道とかで県警の幹部も発言している通りなんですよね」
「瑠美さんに危害が及ぶ可能性があるということが認められなかったっていうことです」
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