色彩の奇跡 印象派展 セザンヌ、モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、マティスなど印象派とその時代の巨匠たち 4月16日(土)～6月5日(日) 福岡県立美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ《アルルのはね橋》1888年
はじめに
「印象派」とは、何でしょう？
長い美術の歴史の中で、圧倒的人気の「印象派」。モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなど、それまでの絵画の常識を覆す天才画家がたくさんです。しかし、そんな彼らにも、実は大変な苦労時代があったのです。
サロン（コンクールのようなもの）に出品しても落選ばかり。当時の美術界の主流派からは疎外される立場にいました。しかし、彼らはめげることなく、どんなに苦しくても自分たちの絵画を信じて、ひたすらに絵を描き続けたのです。
印象派が登場した時代は、長く続いたフランスの革命期がようやく終わりをつげたものの、政治的にはまだまだ混乱を極め、戦争、内乱も起きる大変な時代でした。
「古い時代からの脱却」、これこそが十九世紀のフランス全体が直面していた大きな課題だったのです。印象派は、このような機運のもとに生まれてきた新しい絵画の形だったのです。
印象派とは？
十九世紀後半に、光と色彩を重視し、すばやい筆致で対象から受ける直接的な印象を表現しようとした芸術運動の名称です。
この印象派の絵画は、今でこそ美しい絵のお手本のように思われていますが、登場した当時は、全く人々に受け入れなかったのです。彼らが用いた素早い筆致で仕上げられた明るい風景画は、当時の美術界を牛耳っていたアカデミーの掲げる新古典主義の理念と相容れないものだったのです。
そのため印象派の絵は、アカデミーの主宰するサロン（官展）に出品しても、ことごとく落選しました。そこで、彼らは自分たちの絵を発表できる場を自らつくり「印象派展」を組織しました。しかしその行為も、アカデミーの権威に歯向かう反逆者と思われる要因となりました。
クロード・モネ《霧に煙るファレーズの家》 1885年
印象派の絵画は、なぜ拒絶されたのか？
印象派の人々の描いた絵が、どうしてそこまで強い拒否反応を起こさせたのか？それは、ひとえに「仕上げの粗さ」にありました。
筆跡が生々しいまま、絵が額縁におさまっている様子は、当時の人々に理解しがたい状態でした。筆跡を全く感じさせないまでつるつるに仕上げる。そのような制作行程を重んじていた彼らから見れば、印象派の人たちが「完成」と言っている絵は、単なる準備段階のスケッチにしか見えなかったのです。
画家紹介
クロード・モネ
Claude Monet（1840－1926）
| 1840年 | 11月14日、食品雑貨商を営む家の次男としてパリに生まれる。 |
|---|---|
| 1859年 | 19歳 ピサロと知り合う。 |
| 1862年 | 22歳 パリのグレール画塾で、ルノワール、シスレー、バジールらと知り合う。 |
| 1867年 | 27歳 カミーユ、長男ジャンを出産。 |
| 1870年 | 30歳、カミーユと結婚。サロン落選。戦火を逃れロンドンに遭難。 |
| 1874年 | 34歳 第一回印象派展。 |
| 1878年 | 38歳 次男ミシェル誕生。オシュデ一家と同居開始。生活困窮。 |
| 1879年 | 39歳 妻カミーユ死去。 |
| 1883年 | 43歳 ジヴェルニーに転居。 |
| 1891年 | 51歳 個展「積み藁」で大成功。 |
| 1892年 | 52歳 アリス・オシュデと再婚。 |
| 1911年 | 71歳 妻アリス死去。 |
| 1912年 | 72歳 白内障と診断される。 |
| 1923年 | 83歳 二度の手術を経て、視力回復。「睡蓮」の大壁画制作。 |
| 1826年 | 86歳 12月5日死去。 |
ピエール＝オーギュスト・ルノワール
Pierre-Auguste Renoir（1841－1919）
| 1841年 | 2月25日、フランス、リモージュに生まれる。 |
|---|---|
| 1844年 | 3歳 パリに移住。 |
| 1854年 | 13歳 磁器工房の絵付け職人見習いになる。 |
| 1861年 | 20歳 グレール画塾に入塾。モネ、シスレー、バジールと出会う。 |
| 1864年 | 23歳 サロン初入選。 |
| 1869年 | 28歳 モネと戸外制作、印象派誕生。 |
| 1874年 | 33歳 第一回印象派展参加。 |
| 1879年 | 38歳 サロンで好評を得る。この頃、将来の妻アリーヌ・シャリゴと出会う。 |
| 1881年 | 40歳 アルジェリア、イタリア旅行。極度のスランプに陥る。 |
| 1882年 | 41歳 セザンヌを訪問、共に制作。 |
| 1885年 | 44歳 アリーヌが長男ピエールを出産。 |
| 1890年 | 49歳 アリーヌと結婚。 |
| 1892年 | 51歳「ピアノの前の少女たち」国家買い上げ。 |
| 1894年 | 53歳 次男ジャン誕生。 |
| 1901年 | 60歳 三男クロード誕生。 |
| 1915年 | 74歳 妻アリーヌ死去。 |
| 1919年 | 78歳 12月3日死去。 |
フィンセント・ファン・ゴッホ
Vincent van Gogh（1853-90）
| 1853年 | 3月30日、オランダ南部のズンデルトに生まれる。 |
|---|---|
| 1869年 | 16歳 美術商のグーピル商会に就職 |
| 1877年 | 24歳 神学校入学を目指し、受験勉強を始めるも挫折。 |
| 1878年 | 25歳 炭鉱の町ボリナージュに伝道師として単身に乗り込むが、すぐに免職。 |
| 1880年 | 27歳 画家になることを決意。テオの仕送りが始まる。 |
| 1886年 | 33歳 突然パリに出て、テオと同居。ピサロらと交流を持つ。 |
| 1888年 | 35歳 南仏アルルに移る。ゴーギャンとの共同生活は二ヶ月で破綻。耳切り事件に発展。 |
| 1889年 | 36歳 4月、テオ、ヨハンナ（ヨー）と結婚。5月サン・レミの療養院に入る。 |
| 1890年 | 37歳 1月、ヨー、フィンセントを出産。5月、オーヴェールに移る。7月27日、拳銃で自殺を図り、2日後に死去。 |
ポール・ゴーギャン
Paul Gauguin（1848-1903）
| 1848年 | 6月7日、パリに生まれる。 |
|---|---|
| 1865年 | 17歳 見習い船員になり、世界を船で巡る。 |
| 1871年 | 23歳 パリに戻り、株式仲買人になる。絵を描き始める。 |
| 1873年 | 25歳 デンマーク人メットと結婚。 |
| 1879年 | 31歳 第4回印象派展に出品。ピサロから影響を受ける。 |
| 1883年 | 35歳 株の大暴落を受け、画業に専念する事を決意。 |
| 1886年 | 38歳 第8回印象派展に出品。ポン・ダヴェンに滞在。 |
| 1887年 | 39歳 パナマで一文無しに。マルティニーク島に渡り、パリに戻る。 |
| 1888年 | 40歳 ポン・タヴェンに再び滞在。総合主義を確立。ゴッホとアルルで二ヶ月間の共同生活。「耳切り事件」。 |
| 1891年 | 43歳 タヒチに渡る。 |
| 1894年 | 46歳 ブルターニュに滞在中、けんかにより脚を負傷。愛人アンナに財産を持ち逃げされる。 |
| 1895年 | 47歳 再びタヒチに渡る。 |
| 1903年 | 55際 5月8日、心臓発作で死去。 |
ポール・セザンヌ
Paul Cezanne（1839-1906）
| 1839年 | 1月19日、エクス＝アン＝プロヴァンスに生まれる。 |
|---|---|
| 1859年 | 20歳 父の意思によりエクス大学法学部に入学するも中退。 |
| 1861年 | 22歳 パリに絵の勉強に出る。アカデミー・シュイスでピサロに出会う。 |
| 1863年 | 24歳 モネ、ルノワール、シスレーらと知り合う。 |
| 1869年 | 30歳 後に妻となるオルタンス・フィケと知り合い、同棲を始める。 |
| 1872年 | 33歳 息子ポールが誕生。ポントワーズでピサロと共に制作。 |
| 1874年 | 35歳 第一回印象派展に「首吊りの家」を出品、買い手がつく。 |
| 1875年 | 36歳 サロン落選。激しい非難を浴びる。 |
| 1886年 | 47歳 結婚。父死去。 |
| 1895年 | 56歳 画商ヴォラールのもとで初の個展。 |
| 1899年 | 60歳 作品に高値がつくようになる。 |
| 1906年 | 67歳 10月23日、肺炎で死亡。 |
タイプ別診断
あなたのタイプは･･･
あなたは、「ポール・セザンヌ」タイプ
人一倍情熱的なあなた
仕事に対する情熱は誰にも負けないあなたは、すごい業績を残すかも。食事のマナーは大切に。
あなたは、「ピエール＝オーギュスト・ルノワール」タイプ
幸せになる才能にあふれたあなた
どんなつらい状況でも、ポジティブ思考を失わないあなたは、生涯ハッピーに暮らせるでしょう。
あなたは、「クロード・モネ」タイプ
強靭な精神力と忍耐力を持つあなた
自分を信じて突き進めば必ず成功するでしょう。でもあまり金銭的にあざとくならないようにしましょう。
あなたは、「フィンセント・ファン・ゴッホ」タイプ
頭が良く天才肌のあなた
今は認められなくても、めげずに我が道を行きましょう。後世、あなたの評価は一変するでしょう。
あなたは、「ポール・ゴーギャン」タイプ
キレ者で行動力のあるあなた
やろうと思えばなんでもできてしまうあなたは波乱万丈な人生を送ることでしょう。自分の話はほどほどに。
全出品作品ヴァルラフ=リヒャルツ美術館＆コルブー財団（ドイツ、ケルン）所蔵
This exhibition was conceived by the Wallraf-Richartz-Museum & Fondation Corboud, Cologne, Germany
参考文献・制作協力
| タイトル | 「イラストで読む印象派の画家たち」 |
|---|---|
| 著者 | 杉全 美帆子 |
| 発行所 | 株式会社河出書房新社 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-32-2 TEL：03-3404-1201(営業) / 03-3404-8611(編集) http://www.kawade.co.jp/ 本書購入を希望される方はコチラまで！ |
